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  • 執筆者の写真Hirofumi Inoue

選挙でむき出しになる人間性 映画「香川1区」 佐賀市のシアターシエマで10日まで

更新日:2022年2月6日

 

辻村氏(右)と対談する大島氏 5日昼、佐賀市

 2021年10月投開票の衆院選では日本各地に地殻変動の兆しを感じた。象徴的だったのが香川1区だ。2003年の初出馬から比例復活を繰り返してきた立憲民主党の小川淳也氏が、平井卓也前デジタル改革相に対し約2万票の「大差」で悲願の小選挙区当選をもぎ取った。

平井氏は四国新聞の社主一族の出自であり、父と祖父が国会議員という3世議員。地元・高松を中心に隠然たる力を持つのは想像に難くない。事実、2000年の初当選から8回の当選を積み上げ、昨年発足したデジタル庁で大臣ポストを得た。選挙戦には追い風とみられていたものの、東京オリンピック・パラリンピック関連アプリの開発経費削減を巡る失言などで失速し、小川氏に敗北を喫した。


 映像作家・大島新氏の前作のドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」(2020年)は、小川氏を中心にスポットライトを当てた作品だった。政治に向き合う小川氏を17年間にわたって追った。賛否は分かれるものの、平井氏とは対照的な生い立ちや組織、政治姿勢は印象深い。私たちは昨年の劇的な結末を既に知った上で、大島氏の新作「香川1区」を鑑賞せざるを得ないため、楽しめるかを懸念していた。結論から言うと、その心配はない。結末に至るまでの過程が描かれており、充分に価値がある作品だった。前作を目にしていなくとも価値があると思う。新作では小川氏だけではなく、秘書や支援者、対立候補、そして有権者らにも前作より焦点を当てている。前作と違うのは昨年の劇的な結末の記憶が風化していないだけに、鑑賞する側に当事者意識が生まれやすいという点だろう。加えて、各登場人物の選挙戦を通して一層むき出しになった人間性や泥臭さにも映画としての魅力を感じた。


 政治の在り方とは?


 民主主義とは?


 主義主張を抜きにして2時間半の映画を見終わって、そんなことを考えた映画だった。「香川1区」は全国各地で公開中で、佐賀県内ではシアターシエマ(佐賀市)で10日(木)まで上映予定。


【追記】

 私は保守会派に所属していますが、立場や考え方を越えて観る価値がある映画だと思います。議員や元記者、有権者、市民とかいろんな視点で観てしまって、共感できる部分もありましたけど…。観ていて辛い場面も多かったですね。家族に無理をさせる選挙というものについても考えさせられます。5日(土)には、大島氏と佐賀新聞唐津支社の辻村圭介記者の対談がシアタークリエでありました。その模様はまた後日。


あ、バイトの時間だ。それではまた。

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