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  • 執筆者の写真Hirofumi Inoue

唐津を担う市職員の人材育成の実態とあり方 2022年3月定例会一般質問より①

 これまで市の議会だよりや、自ら制作する「ブンシンブン」で一般質問の概要をお伝えしてきました。ただ、どちらも短いため、やりとりの様子が全て伝わりません。唐津市の会議録検索システムでわざわざ検索していただくのは恐縮なので、今後は少しずつブログで紹介することにしました。読みやすさを重視し、一部は省略したり、言い換えたりしているのでご承知おきください。(所要時間30分程度)






【井上】

 この質問のテーマは、唐津市を担う人材の育成方策を今後どうすればいいのかです。

 コロナ禍でデジタル化への対応の遅れなど、長年にわたって放置していた日本の課題が次々と露呈しました。

 不確実性が増す中、答えのない問題に対処する能力を高めることをはじめ、市職員に求められる分野は広がっています。したがって、職員の人材確保や育成、公平で適切な評価、能力を発揮するだけの職場環境の整備といった分野は極めて重要です。

 旧自治省が、1997年、平成9年に示した指針をきっかけに、ほぼ全ての自治体が人材育成基本方針を定めたものの、その後、改定して人材育成を強化したり、逆に忘れさられたり、自治体のばらつきが大きいのが実情です。

 人材育成をテーマに議論を深めた上で、唐津市が今後改定するであろう方針をよりよいものにするということを目的に質問します。

 方針の概要をお尋ねする前に、私から国の動向を説明します。

 人材育成の有識者でつくる総務省の地方公共団体における今後の人材育成の方策に関する研究会による、昨年度の報告書によると、全国の市町村の9割以上が人材育成基本方針を策定しています。

 旧自治省が97年に出した人材育成基本方針に関する指針の通知をきっかけとして、全国ほとんどの自治体が人材育成の目的や方策を明確にするために策定するに至っています。

 

【総務部長(濱口智)】

 唐津市の方針の概要と改定の有無、その経緯、改定した場合の変更点をお示しください。

分権型社会への移行が進む中で、自ら考え自ら判断する組織となるよう、その担い手である職員の育成方針を明確にするために、平成23年3月に、唐津市人材育成基本方針を策定しております。

 本市職員が目指すべき職員像や目標を掲げ、実現するための具体的な取り組みといたしまして、研修プログラムの充実や組織活性化のための取り組み、働きやすい職場環境づくりなどを定めておるものでございます。

 この人材育成基本方針につきましては、4年ごとに改定を行っておりまして、現在の人材育成基本方針は、平成31年3月に改定したもので、計画期間は令和元年度から令和4年度までの4年間でございます。現在、第3次の方針となってございます。

 また、第2次から第3次への方針の改定に当たりましては、働き方改革によるワーク・ライフ・バランスの推進や労働生産性の向上など、新たな課題に対応していくため、これまでに取り組んできた実施項目を評価しながら、今後実施していくべき項目を追加、再整理をいたしております。

 具体的には、今後活用が広がると見込まれるAIといった先進技術などに対応できる職員を育成するための研修の実施、職員採用試験の民間企業経験者採用枠の拡充。そして、成績重視の採用から人物重視の採用への見直しなどを追加いたしております。


【井上】 

 1回目の私の質問とご答弁をまとめると、1990年代以降、地方分権が日本全体で進んでいたという背景があり、言わば、国主導ながら、唐津市は旧自治省の通知から10年以上遅れた2011年3月に、自ら考え、自ら判断する組織となるという目的で、組織の担い手である職員育成方針を明確にするために策定しました。

 次の質問以降は、人材確保や育成、評価、職場環境といった分野別に人材育成の方策や方針そのものの中身を探っていきます。

 最初にお断りしておくと、現在の担当者の皆さんがこの方針をつくったのではないということをご理解ください。

 私の言葉は過去の担当者をはじめ、ここに座っていらっしゃる幹部の皆さんや画面の向こうで今聞いているかもしれない職員の皆さんに対してのものでもあります。

 人材確保で真っ先に思い浮かぶのが採用試験です。

 合併後の唐津市の採用状況をご説明ください。


【総務部長(濵口智)】

 本市の職員採用の状況でございますが、まず職員採用試験の応募状況を申し上げます。  申込者数は、平成18年度の574人、これがピークでございました。これ以降、減少傾向でございまして、平成28年度は最少の231人となってございます。  その後、平成30年度は342人と増加しましたものの、令和元年度と令和2年度は再び200人台と、ちなみに今年度は316人でございました。  次に、受験者数に対します合格者数の割合、競争率と申しますが、競争率を見てみますと、市町村合併直後の平成17年度は、合格者数が25人と最少の人数であったこともございまして、競争率は15.8倍となっておりました。合併後では一番高い数字となっております。  その後の競争率は低下をいたしておりまして、特に、平成27年度以降は3.3倍から5倍と低い数値で推移をいたしております。  今後の少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少を考えますと、ますます人材確保が困難になりますし、既に土木職という専門分野につきましては、民間企業や他の自治体との取り合いといいますか、競争になっている、そのため必要数を確保できていないという状況もございます。  このような中で、多様な経験を持つ人材を確保するために、平成28年度から全国大会等で優秀な実績のある人材を対象としたスポーツ枠、平成29年度から民間企業に勤務している人材を対象とした社会人経験枠、UJIターン枠とかも言っております。を設けるなど、それまでの年齢制限も拡大しながら、採用枠の拡充を行っている状況でございます。  また、平成30年度からは、成績重視の採用から人物重視の採用にシフトさせるため、面接試験を1回から2回に増やしまして、行うことといたしております。  これらとは別に、次年度以降の人材確保につながる取り組みといたしまして、市内の高校を訪問し、職場体験、インターンシップとかも言いますが、その体験先となりうることの営業活動等を行い、積極的に受け入れるよう努めているところでございます。


【井上】 答弁で唐津市の採用試験に申し込んだ人数は、2006年度の574人がピークで、2019年度と2020年度は200人台なので、半分程度になっていることが分かりました。少子化の影響を差し引いても減少幅が大きいです。競争率に関しては、2015年度以降は3倍から5倍で推移しています。

 総務省の資料によると、令和2年度、地方公共団体の勤務状況等に関する調査結果によると、全国の各市と各区を対象として、大卒程度や高卒程度といった全ての試験区分を合計した競争率、全国の市と区の競争率は、最新の20年度の数値で6.9倍なので、唐津の競争率が相当低いことが分かります。

 そんな中で、多様な人材確保としてスポーツ枠やUJIターン枠を若干名設けて、面接を従来から1回増やして、筆記試験から人物重視の採用をしているというご説明でした。

 多様な人材確保として、なぜスポーツ枠を設けたのかというのは、後で私の見解を述べます。

 試験方法を学力重視、すなわち筆記試験の成績だけで決めるのではなく、人物重視に変えたという方向性には賛成します。ただ、面接を1回増やすだけでは多様な人物確保には不十分というのが私の意見です。

 理由は、受験予備校や就職試験を経験した受験者が、面接では有利な傾向があるからです。

 こうした問題を解決しようと、2000年台からは神戸市など、全国各地の自治体が試験官を前にプレゼンテーションをするという試験を導入し、一定の効果を上げています。

 また、直近の昨年12月には、総務省が地方公務員の職員採用方法の多様化という通知を全国の自治体に出し、中途採用の取り組みの推進や職員試験の多様化をわざわざ自治体にお願いした上で、採用試験の年齢制限撤廃や試験日程の前倒し、グループワークなど、人物試験の傾斜配点、実地試験の導入、ほかの自治体との共同採用、デジタル人材に特化した試験区分の導入などを参考として挙げています。

 方針の改定に当たっては、策定時と同じように遅れないよう、先進自治体なみに積極的な採用試験になることを期待しています。

 次に移ります。

 人材確保のポイント、主に採用の部分、冒頭に挙げた研究会は、1つ、求める人材像の設定。2つ、「選ばれる組織」となるための魅力発信。3、組織を補完するための外部人材や広域的な人材の活用を挙げています。

 最初に1、求める人材像に関する唐津市の取り組み状況と基本的な考え方を教えてください。また、市民が求めている職員像をどのように把握しているのか、アンケート結果などでお示しください。


【総務部長(濵口智)】 

 本市が求めます人材像の設定でございますが、唐津市人材育成基本方針において、目指すべき職員像というものを定めてございます。

 それはちょっと長いのですが、「実現すればすばらしいであろう未来を心に描ける力を持ちその夢を実現しようとする不抜の信念がある職員」といたしておりまして、豊かな人間性、創造力、企画力、挑戦力、実行力、忍耐力などを育成するため、研修など各種取り組みを実施しているところでございます。

 職員像に関しまして、市民へのアンケート等は実施をいたしておりませんが、唐津市総合計画や唐津市まち・ひと・しごと創生総合戦略で示しておりますとおり、人口減少対策が喫緊の課題でございまして、課題解決に向けた取り組みを推進できる人材を確保するため、職員採用試験においては、やる気があり、唐津を誇りに思う郷土愛を持ち、コミュニケーション能力、行動力、発想力等を仕事の中で発揮し、本市の発展に貢献してくれる可能性、そういった可能性を感じられる人材を求めているところでございます。

 目指すべき職員像につきましては、平成23年3月に、この方針を策定して以来、同一の職員像を掲げております。

 現在の社会情勢や地域の実情、行政需要の変化を踏まえ、見直しを行うことも必要と考えているところでございます。


【井上】

 私にとっても、ご答弁いただく部長にとっても残念な結果になりますが、この後の議論はあまり意味がない可能性が出てくるのは、お互い覚悟しなければならないと思います。

 ただ、方針の要であり、関わる方策全ての出発点なので、そのくらい重要なポイントだと私は思っています。

 1つ目の人物像として不適当である理由が、ご指摘のように人口減など、唐津の現状や課題を全く考えていないことや時代遅れの理想像であるということです。

 この人材像を初めて目にしたとき、大手広告代理店電通の社員の心得やルールを示した鬼十則の一つ「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。」を思い出しました。ただ、今も行っているかどうかは分かりかねますが、電通は研修で富士山登山をしていることはよく知られていると思います。ただ、言ったこととやったことというものがリンクしています。鬼十則というものと、その研修が。

 しかし、電通は女性社員の過労死問題があったり、新興のサイバーエージェントに昨年は一時期、時価総額で越されたりするなど、往年の輝きは失っているということは、皆様ご承知だと思います。

 少なくとも、私は唐津市の人材像、不抜の信念がある社員を目にすると、高度成長期の猛烈型の社員や軍の特殊部隊員、映画「ショーシャンクの空に」の主人公の脱獄囚といったイメージを持ちます。果たして、猛烈型の社員を職員が目指すべきなのでしょうか、それは違うと思います。

 あくまで私の推測ですが、多様な人材確保として、2016年度からスポーツ枠を設けたのは、この人材像、職員像の下に考えた結果です。明らかにデジタル人材が足りなくなることを予想できてもいいはずなのに、スポーツ枠を優先したということが残念です。

 また、この職員像の下に、唐津市は市職員が目指すべき行動を姿勢として、行政のプロとしての使命感を持ち、市民サービスを極めるなど4本の柱を掲げています。しかし、例えば、行政のプロとして明るい笑顔と挨拶で市民の立場に立ったサービスを提供する。変化を恐れず前例踏襲にとらわれず、コスト意識とスピード感を持って積極的に仕事に取り組む、温かい心と包容力でメンバーを統率するといった行動姿勢の数々が空虚で上辺だけに聞こえるのは、この人材像、職員像というものをよく考えていないからだと私は考えます。

 唐津市として、職員像や使命、課題などを踏まえた上で、人材像、職員像は練り直してください。

 次の質問です。

 次に、研究会が示した選ばれる組織となるための魅力発信という点で、唐津市の取り組みと考え方をお示しください。


【総務部長(濵口智)】

 本市の職員採用に当たりましては、採用試験の情報をホームページ、市報、行政放送、フェイスブックで発信をしており、そのほかに市内の高校、また県内と近隣県の大学を直接訪問いたしまして、採用試験の案内等も行っております。

 昨年度は、市長による高校訪問をはじめ、市長のメッセージ動画や若手職員へのインタビュー動画をフェイスブックなどで発信したところでございました。

 また、今年度でございますが、ウェブによるエントリー方式といいますか、申込みをパソコン上でできるようにいたしまして、コロナ禍での受験者の視点に立った改善も行ったという状況でございました。

 しかしながら、採用試験につきましては、以前と比べ申込者数それから競争率が減少している状況でございまして、結果から申しますと、魅力的な発信に至っていないというふうに感じております。

 今後は、本市の業務の内容とともに、本市の魅力なども効果的に発信できるような取り組みを試行錯誤しながら行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。


【井上】

 唐津市のホームページとフェイスブックには目を通しました。

 ウェブ申込みの導入や動画を用いるといった方向性には賛同するものの、魅力発信という点では圧倒的に質も量も足りていません。

 事前に、唐津市に接する糸島市、壱岐市、松浦市、武雄市、佐賀市などのホームページなどに可能な範囲で目を通してみました。私の目では、武雄市を除いて、ドングリの背比べの状態です。

 武雄市は専用サイトがあり、「「しごと」「ひと」「自分」そして「武雄」に夢中になってくれる人待っています」とトップページに掲げた上で、市長メッセージ、市の事業、先輩の声、庁舎の魅力、求める人材を紹介しています。試験に実質的な年齢制限もありません。すばらしいと思います。

 佐賀県も専用サイトがあり、よくも悪くも広告代理店が入ったようなこなれた感じがあるんですが、公務員という職種はないという挑発的なコンセプトを打ち出しています。

 恐らく専門性を重視したり、そういう変化を恐れずチャレンジする人材を求めたりしているというのが十分に伝わります。しかし、そのまま武雄市や佐賀県をまねしなさいという意味ではありません。

 私が言いたいのは、自ら考え、自ら判断する組織を本当に目指すのであれば、ドングリの背比べをしているうちに、総務省から言われて重い腰を上げるということではなく、今すぐに考えて動く、もしくは動きながら考えてほしいということが伝えたいことです。

 その際は、一つ前の答弁にあったやる気があり、郷土愛を持ち、コミュニケーション能力、行動力、発想力を仕事の中で発揮し、本市の発展に貢献してくれる可能性がある人材像をそのまま設定する前に、もう一度考えてみてください。必ずしも、郷土愛や若い人材にこだわる必要はありません。

 市外出身の採用者が辞めがちというのが郷土愛にこだわる理由だと見られますが、私はミスマッチが起きるのは、情報発信ができていないことが主な原因の一つだと考えます。この点は武雄市のように情報発信すると、ミスマッチはある程度防げるのではないでしょうか。

 次の質問に移ります。

 採用の部分で最後に、組織を補完するための外部人材や広域的な人材の活用に対する唐津市の取り組みとその考え方をご説明ください。


【総務部長(濵口智)】 

 市の単独で確保、育成が困難な専門人材につきましては、外部人材の活用をはじめ、地域や組織の枠を超えた広域的な人材の配置や、横の連携によって不足する人材を補完するという視点も必要であると認識いたしております。また、市民のニーズが多様化、複雑化していく中で、職員の専門性を高めることの必要性も認識いたしております。

 特に、近年の災害の状況ですとか、コロナ禍で明らかとなりましたDX推進の必要性を考えますと、危機管理情報通信といった専門性が高い分野で、高度な専門的知識や経験を有する人材が必要であり、そうした外部人材の活用は非常に有効であると考えます。

 そのような中、本市におきましては、国の地域防災マネジャー制度を活用し、防災対策監として自衛官出身の職員を採用しております。

 また、国の地域おこし企業人交流プログラム事業を活用し、情報政策監として、ソフトバンクから職員を派遣いただいているところでございます。

 そのほか、原子力対策監、危機管理監につきましても、外部からの人材を登用しており、現在4人の外部人材を配置いたしておりまして、各分野で事業を推進していただいているほか、職員研修のポストも担っていただきまして、人材育成にも貢献していただいているところでございます。

 また、この4人以外にも、ボートレース企業局では、経理、情報システム、広告宣伝といった専門分野でプロパー社員を合計5名雇用いたしておりますほか、またちょっと違った観点で、七山におきましては地域づくりの担い手として、地域おこし協力隊員2名を雇用しているという状況でございます。

 今後も必要に応じた外部人材の登用を考えてまいりたいと思います。

 

【井上】 

唐津市が抱える課題を考えると、外部人材4人では足りないというのが私の実感です。

 ご答弁にあるように、今後も必要に応じてと言っている間に世の中は変わり、唐津市が抱える課題は深刻になるかもしれません。

 七山の地域おこし協力隊の2人の活動は、これこそあるべき一つの公務員の姿だと私は考えます。

 研究会の資料には、これから求められる地方公務員像として、アイデアを取りまとめるコーディネーター、地域資源を活用して新産業を起こすアントレプレナー、学んだ経済学を問題解決に向けて行動に移せるエコノミスト、組織内や組織の間を調整してよりよい習慣をつくるオーガナイザーを挙げていました。

 何でも英語で書けばいいというものではないんですけども、七山のお2人が地域に溶け込んで活動し、好循環を生み出す様子はオーガナイザーのようでした。

 協力隊員には任期後、また移住するか定住するかを考えざるを得ない、先ほど質問で喜ばしい話が出てきましたが、一般論として、そういう問題が付きまといます。

 この点、京都府の日本海側にある京丹後市は、行政職員として週に3日か4日働きながら、地域内の副業、兼業、都市部とのリモートワークを可能とするふるさと創生職員という制度を昨年から始めており、注目に値します。

 公務員の安定性とその任期後のキャリアを見据えた副業、兼業といういいところ取りの取り組みです。

 市が置かれた状況を把握し、どういう人材に来てほしいのかというのを徹底的に考えて生み出した例だと私は考えています。

 次に移ります。

 質問する分野は、研修と評価です。

 1、人事情報と職員研修、実地研修との連動、人事評価制度と人材育成への積極的な活用と職員の関与です。

 まず、一つ目の人事情報と職員研修、実地研修との連動に関して、まずお尋ねします。

 地方公務員法には、研修を受ける機会を与えなければならないという定めがあります。

 研修の現状とその在り方についてお答えください。


【総務部長(濵口智)】 

 人材育成基本方針におきましては、研修プログラムの充実を図るため、研修区分を設けておりまして、1、自己啓発、2、基本能力研修、3、行政課題研修、4、職務能力と書いて職能別研修、能力開発研修、派遣研修の6つに体系化をいたしております。

 本市独自で行う研修のほかに、佐賀県市町村振興協会主催のものなど、様々な研修を受講させている状況でございます。

 このうち、基本能力研修では新規採用職員、係長、課長といった、いわゆる職階層に応じたものや、行政課題研修では情報セキュリティ、人権同和問題、コンプライアンス、まちづくりといった行政課題に対応するための能力を育成いたしております。

 加えて、専門的な人材を育成するため、社会福祉主事等の資格取得講座の受講をはじめ、自治大学校、国の機関などに職員を派遣し、職員の能力開発や経験の蓄積、またネットワークづくりを図っているという状況でございます。

 また、受講者にはアンケートや報告書を提出させまして、これにより研修の内容、時間、開催時期等に対する評価、今後、受講したい研修等について把握を行い、改善につなげているところでございます。


【井上】 

 補足として、研修の受講状況は唐津市のまとめによると、資料では、2020年度で自己啓発が15人、基本能力研修が76人、行政課題研修が1,518人、職能別が54人、能力開発研修が55人です。恐らく延べ人数です。

 これが多いか少ないか、それぞれどの程度の意味がある研修なのかは、別の機会に議論したいと思います。

 基本的には、自ら率先して学ぶのが一番だと私は思っています。

 職員の背中を押したり、やる気を出させたりするために、研修プログラムの分析や設計、開発、実施評価を意識した上で、知識を吸収することがメインの座学とならないよう、ご利用いただければと思います。

 次に移ります。

 そもそも唐津市では人事評価を何のために、いつから、誰に対し、どのように行っているのかお答えください。併せて、一般職や管理職、監督職、そういった方々に対する評価の実態をご説明ください。


【総務部長(濵口智)】 

 平成28年4月1日に地方公務員法の改正によりまして、人事評価を任用、給与、分限、その他の人事管理の基礎として活用することとされたことを受けまして、本市では、平成28年度から職員の人材育成や組織の活性を図るための手段の一つとして、人事評価を実施いたしております。

 評価の対象者は、長期休業中の職員を除く部課長も含めて全ての職員でございます。

 職責に応じて求められる職務行動が取られていたかを評価する能力評価、評価期間中に設定した業務目標の達成度を評価する業績評価、この2つの評価を実施いたしております。

 評価に当たりましては、係長以下の職員は課長が評価をいたします。副部長と課長は部長がいたします。部長と市民センター長は副市長がそれぞれの評価を行っているという状況でございます。

 また、評価の対象期間でございますが、令和2年度までは、4月から3月までの1カ年度を対象といたしておりましたが、令和3年度からは、評価結果を昇給または年2回支給されます勤勉手当に反映をさせるため、評価期間を前期、後期の年2回と分けて、それぞれ実施をいたしております。

 具体的には、評価者と被評価者による期首、期の始まりと言うんですが、期首面談を通じて、設定した業務目標に沿って業務を遂行した後に、評価期間中に発揮した能力と業務目標の達成度を評価し、期末面談を通じて、評価結果を開示すると。また、それとともに、被評価者に対して助言や指導を行うことにより、職員の能力向上や業務の改善を図っているという状況でございます。


【井上】 

 答弁によると、唐津市の人事評価の目的は、人材育成と組織の活性化です。

 2016年、平成28年の改正地方公務員法に合った給与の反映がようやく始まり、やはり遅い印象は拭えません。

 仕事ぶりや能力を評価し、評価された人にその結果を戻して、育成を促すというのは、目的は理想であり、私もそう思います。

 一方で、その人事評価によって、目的に合ったその組織そのものを活性化するという、そこと、ご答弁がどうつながるのかは明確ではありませんでした。昇給や昇任に人事評価で差をつけて、動機づけをするというのは理解できました。

 極論を言えば、差をつけるだけの人事評価に意味はなく、組織として業績を人事評価でどう上げるのかという点が重要です。

 したがって、市の総合計画や行政評価を基に、政策、施策、事務事業におけるそれぞれの目標と部や課、係、個人の目標をいかに連動させるかに知恵を絞ってほしいと私は考えています。

 次の質問に移ります。

 研究会が示した人事情報を活用した配置、処遇、能力開発。

 2つ目に、組織の将来を担う職員の発掘、配置への首長らの関与を基に質問します。

 一般的な人事異動、ジョブローテーションに関する考え方を教えてください。特に、採用後10年以内の能力開発期、いわゆる若手の人事異動に関し、どのくらいの頻度でどのような行政分野、業務部門を経験させ、能力を開発し、将来的に発揮させようと考えているのか、その際、本人の希望を誰がどのように把握するのかをご説明ください。


【総務部長(濵口智)】 

 職員の異動に関する基本的な考え方でございますが、まず、人事異動を行うねらいにつきましては、組織の活性化、そして人材育成や職員の士気の高揚がございます。人材育成基本方針におきましては、適材適所の人員配置を重視すべき項目の一つと位置づけておりまして、職員がやりがいを感じるための必要な取り組みであると認識いたしております。

 実際の人事異動につきましては、市役所には様々な部署がございます。それぞれ業務内容が異なりますことから、職員に多様な部署での職務経験を積ませたいと考えております。特に若手職員につきましては、多くの経験を積ませることにより、実務能力を養成するとともに、適性を見極める上でも入庁後、早い段階で複数の職場を経験させるような異動を心がけているところでございます。

 また、職員の配置が長期固定化いたしますと、職員のやる気の低下等につながってまいりますことから、おおむねでございますが、3年から4年の在職期間をめどに異動させることといたしております。

 このほかにも市民センターへの異動も定期的に行っておりまして、地域の実情を直接感じ取り、その対応ができるような職員の育成にも努めているところでございます。

 最後に、本人の希望の把握でございますが、管理職以外、管理職はできません。管理職以外の全職員への異動希望調査を実施したり、また人事課長が各課長へのヒアリング、そして人事評価の結果等、こういったものを活用しまして、職員の希望、それから意欲、能力、資格取得の状況、こういったものの把握に努めております。


【井上】 

 若手職員を中心に議論を進めていきます。異動期間が三、四年というのは一般論なので、若手に関してはそれより短い間隔だと理解しました。唐津市の方針の中には、フレッシュマンジョブローテーションとして、基本的に3年から5年のサイクルを確か掲げていました。最長5年はさすがに長すぎます。

 今のご答弁を優先し、方針を改善することを求めます。その際は、具体的に10年間で、窓口や現場、企画管理などを交互に三、四部署などと具体的にしてほしいと考えております。

 個人的には、将来の幹部候補となる意欲がある若手や、その可能性があると幹部が見込んだ若手には、国の総合職、キャリア官僚のように、一、二年のサイクルで多くの現場を経験してほしいと考えています。本人の意向をどう把握するかについては、職員異動等希望調査票を用いるというご答弁でした。課長クラスに提出するようですが、例えば、職務のやりがいといった項目で、少ないというチェック欄に記入した調査票はさすがに上司に提出しにくいと私は思います。

 人事に直接提出することで上司の評価にもつながりますし、人事との直通ルートを確保したほうが、いわゆるライフラインに役割を果たせるのではないかと考えます。また、この調査票で一般行政職から技術職への職種変更といった複線型人事を反映された欄は評価できます。

 次の質問に移ります。最短ルートで昇任した場合の年齢をお示しください。


【総務部長(濵口智)】 

 最短でのルートということでしたが、これまでの実績を踏まえてお答えをさせていただきます。

 まず、係長等への昇任でございます。昇任時、年齢が最も若い職員の実績で、係長への昇任が37歳、課長が42歳、副部長が49歳、部長が51歳となっております。職員の係長、副課長、課長などへの昇任は人事評価の結果などに基づきまして、その職務を遂行する上で発揮することが求められる能力と任命しようとする職について、適正により判断をいたしております。

 

【井上】 

 ご答弁では、最短でも係長で30代後半、部長、副部長で50歳前後です。組織の活性化を図り、唐津市の業績を上げていくためには、意欲と能力がある中堅若手の登用は不可欠です。ただ、現時点では承認の基準は、人事評価などと不透明な部分があるのが実態です。改善を求めます。この後、昇任試験の導入に関しても改めて伺います。

 次の質問です。市役所の外への派遣の研修や出向を対象とした庁内公募の有無、あるかないか。それらの決定方法をご説明ください。


【総務部長(濵口智)】 

 先ほど、ご答弁した中で、職員の能力開発や経験の蓄積、ネットワークづくりのために自治大学校や国の機関などに職員を派遣しておりますということをご答弁申し上げました。派遣する職員の決定に当たりましては、公募は行っておりません。毎年度、実施いたしております異動希望調査の中に、受講したい研修が何かという問いがございますので、その結果を参考にいたしております。自治大学校の研修を受講したいといった職員の希望を把握しまして、年齢や職歴等を踏まえ決定をしているところでございます。

 今後、人材育成基本方針を見直す中で、職員アンケート等において公募を行ってほしいなどといった意見が多ければ、その公募についても検討をしたいと思います。

 

【井上】 

 答弁は、職員への調査票をもとに希望を把握して、年齢や職歴などを踏まえて決定するということでした。やはり、派遣や出向の選考がオープンにしてどんどん外に出てほしいというのが、私の考えです。国や自治大学校もいいですが、このたびはマーケティングサービスを民間で学んだり、大学院で学び直してNBA経営学修士を取ったりしてほしいと思います。そして、その知識を唐津市に還元してほしいです。

 そのための制度や職員が手を挙げやすい環境をつくるのが人事や上司、同僚の役目だと考えます。出向候補先の一覧リスト、研修候補とかでもいいですけど、一覧リストを毎年度配ったり大学院の入学を希望する職員にはどんどん計画書を提出させたりできるようにしてほしいです。

 楢﨑議員が先ほど質問でふれた糸島市には、NBAを取得してその知識を活かし、特産品の売上げを1年半で6倍にした職員がいるようです。

 次に移ります。昇任試験や昇任につながる庁内公募がそもそもあるのかないのか、私は導入するべきだという立場ですが、ない場合は、導入するのかしないのかお答えください。


【総務部長(濵口智)】 

 職員の係長、課長などへの昇任に際しましては、庁内公募や昇任試験を実施することはその職務の仕事に調整したいという意欲のある職員に機会を与え、試験を通して人材育成につながるといったメリットはあると思います。

 しかし、承認に当たりましては、職務遂行に必要な知識以外にも積極性、それから組織をまとめるリーダーシップ、そういった能力とこれまでの実績を総合的に判断をいたしております。庁内公募や試験は実施していないのが現状でございますが、またそういった理由で導入についても現在は検討いたしておりません。


【井上】 

 答弁では、昇任試験のメリットを認める一方、導入には消極的だと受け止めました。メリットだけでは建設的な話はできないため、あえて私のほうからデメリットを示します。私が考える昇任試験導入のデメリットは、試験準備に伴う負担と組織の混乱です。仮に会計や公務の能力を問う筆記試験であれば、かなり負担になると思います。しかし、例えば、自動車メーカートヨタのお膝元である愛知県豊田市のように、総合計画の中から問題を出すという内容であれば、負担は限定的であり、総合計画で市のビジョンや課題を再認識する機会になります。ちなみに豊田市の例は2000年代の話です。もしくは、面接やプレゼン試験のみという形でもいいでしょう。

 庁内公募は必ずしも昇任につながらなくても私はいいと考えていますが、部長や課長ら所属長クラスが自分たちの部や課は総合計画や行政評価をもとに自分たちの部署としてのそのビジョンやミッションを示し、こういう職員と一緒に働きたいんですと、庁内でアナウンスすることで組織の活性化につながると、私は考えています。その際、庁内公募と異動希望調査を連動させることも重要です。

 2の組織の混乱に関しては、現在の総合的な判断と、そういうブラックボックスみたいな形で進めるよりも、ある程度、オープンにしたほうが公平で透明な制度に代わるだろうというのが、私の見解です。

 次に移ります。研究会は、残るポイントとして、1、組織への構築と共有、2、誰もが働きやすい職場環境の整備、3、職員のエンゲージメント、これは思い入れや働きがい、意欲、愛着という意味です、の把握を上げています。

 これらに関するその現状と課題、対策について、お示しください。


【総務部長(濵口智)】 

 人材育成基本方針では、組織理念や職員のエンゲージメントについては、特段定めはございません。働きやすい職場環境の整備につきましては、課全体でノー残業デーを推進するため、ノー残業デーを実施できなかった場合に、振替日を指定する制度、そういったものを導入いたしております。

 また、職員の悩みを、職場を超えて相談できる職員相談員の設置、また臨床心理士によるメンタル相談の実施、出退勤管理用のタイムレコーダーの設置、そういった項目を定めまして、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる状況でございます。

 また、唐津市特定事業主行動計画というものがございますが、こちらにおきましては、男性職員の配偶者出産休暇や育児参加休暇等の取得率の向上、職員一人当たりの時間外勤務時間数の削減など、数値目標を掲げて、職員が仕事と家庭生活を両立できる環境づくりを目指しているところでございます。

 

【井上】 

 組織理念に関しては、ぜひご検討をお願いします。職場環境に関しては、多様化しているのは市民ニーズだけではなく、職員のニーズも同じだと思います。プライベートを大切にしたり、時差出勤など柔軟な働き方を望んでいたり、出産、育児や地域活動等を両立したりするという視点が考えられるので、改定後の方針にもできれば明記するように求めます。

 次の質問に移ります。市役所で長く続いている昼間の消灯の是非、いいか悪いかを問います。電気代の削減効果はあるのかという点や、能率や意欲の低下というデメリットのほうが上回らないのかといった点をお答えください。


【総務部長(濵口智)】 

 昼休み中に窓口付近の照明以外の照明を消灯いたしております。もともとは経費削減やCO2排出量削減による、いわゆる地球温暖化防止の観点からそういった取り組みを始めたと記憶いたしております。消灯による電気代の削減効果につきましては、詳細な額の試算はできておりません。一定の削減効果は得られていると考えております。

 昼休み時間といいますのは、心と体をリフレッシュさせ、午後からの労働意欲の向上を図るための時間と捉えております。やむを得ず仕事をする必要が生じる場合も十分ございますので、そのような場合は、必ずしも照明を消灯しなければならないというわけではございません。

 実際に窓口対応が必要な部署では昼休みも照明を点灯いたしておりますし、また、天候が悪くて室内が暗いときなどは照明を点灯いたしております。状況に応じた臨機応変な対応をすることで、能率意欲の低下というのは防げるものと考えます。

 以上でございます。


【井上】 

 答弁は今のままケース・バイ・ケースというものでした。私なりに理解できることもありまして、共感すべきところもあります。ただ、明るい場所で食べる権利は職員誰しもにあり、来庁した市民も消灯した窓口以外に来るケースがあったときに、いい気持がしないのではないかという問題意識がありました。私には具体的な根拠がないので、考えだけ、思いだけですね、以下、お伝えします。

 削減効果や環境対策という目的は理解できるものの、削減効果が詳細には分からないという点は残念でした。EBDMという言葉が議会でも何度も出ていますが、実情は環境やお財布にいいからやってみようという直感的な判断で根づいているのかもしれません。だとしたら、効果が分からないことをする職員はたまったものではないなと思います。

 そこで、単純引下げ計算で電気代がいくらになるか考えました。あるオフィス、仲介業者のサイトに10坪程度のオフィスでは2万円前後が相場、80坪程度では8万円前後、フロア面積に正比例するわけでもなく、広くなるほど割安に推移する曲線を描くとしていました。

 ここでは単純化して10坪当たり、月当たり1万円にします。そして、エネ庁のホームページなどでダウンロードしたPDFの仕様に、オフィスの電気代のうち24%が照明だとありました。仮に新庁舎で想定すると、床面積が1万7,000平方メートル、約5,000坪、昼間の消灯で1日当たり10時間つけていた照明時間が9時間になったとします。1月の光熱費がこれだと500万円で年間6,000万円、そのうち照明が1,440万円、年間で、削減できる割合の10分の1だとしたら、この場合だと144万円の削減効果になります。私が1回目に計算した計算では約180万円になったので、厳密な数字ではもうかけ離れていますし、致命的な計算ミスもあるかもしれません。ただ、答弁にあった一定の削減効果よりはイメージしやすいはずです。

 100万円単位の削減効果なら職員の権利を優先してゆっくり休んだり寝たりしたい人は使っていない会議室に移動するといったケース・バイ・ケースのほうがいいのではないのかなというのが、私の考えです。むしろ、消灯よりも圧倒的な紙の無駄遣いをやめたほうがいいと強く思います。

 大学生たちの論文ですが、昼間の消灯に不満を持っている人が多いという、これは民間の話なんですけど、そういうアンケートもありました。エビデンスというものが絶対というつもりはありません。ただ、唐津市として、より合理的な判断をするため根拠も大切です。

 次の質問に移ります。私は、職員給与を上げるべきという考えですが、この点に関してご見解をお尋ねします。


【総務部長(濵口智)】 

 給与水準を示しますラスパイレス指数についてお答えいたします。

 本年度の本市の指数は98.1でございました。この値は前年度から0.1ポイント上昇はいたしております。県内10市の順位では上から6番目といったところで、決して高い水準とはいえない状況でございます。給与水準の改善の取り組みといたしましては、本年度から人事評価の結果を給与へ反映させる取り組みを行っております。特に高い評価を受けた職員については、通常より高い水準での昇給を行っているところでございます。

 また、職員労働組合ともラスパイレス指数の改善に向けて協議を継続いたしております。処遇の改善は職員の働きがいや意欲の向上につながる、そう考えられますので、引き続き検討は行ってまいります。

 

【井上】 

私は、人口も産業も違う県内10市の中での数字よりも全国の類似団体の数字を重視したいと思います。金銭的なインセンティブやその労働の対価としての改善は言うまでもなく重要です。したがって、類似団体の平均にするため、ラスパイレス指数、この場合、0.2ポイントの改善を早急に求めます。補足として、唐津市の資料によると、おととしの4月1日現在で一般行政職を例にすると、平均年齢で42歳、平均給与月額約36万5,000円です。類似団体が約38万5,000円なので月2万円上げるべきということです。

 そこからさらに上に上げるには、これからてこ入れする行政評価や総合計画、各部署との目標を連動させた人事評価をもとに、賞与やボーナスをもとに判断するのが望ましいと考えております。

 最後にお尋ねします。市長として採用や育成、評価、職場環境整備といった各分野で、人材育成をどう進めて職員を、組織を一層その組織力を上げていくのか、一般的にボトムダウンよりトップダウンが有利とされていますが、人材育成基本方針の改定、もしくはそれに代わる計画やビジョンなどをつくる必要はないのか、これまでの議論を踏まえて、その際のそのポイントなどについてお示しください。


【市長(峰達郎)】

 井上議員の再質問にお答えいたします。

 これまでるる人材の育成方策につきましてご議論を賜りました。本市におきましては、喫緊の課題であります人口減少対策、また懸案となっております公共施設の再編、並びに行財政改革、そして、新型コロナウイルス感染症への対応など、取り組むべき課題が多くあるわけでございます。

 また、令和4年度はDX元年と位置づけをさせていただきまして、市民サービス、産業界、そして市の内部事務におきましても、デジタル技術による変革を進めるための事業にも取り組むことといたしております。これらの取り組みにつきましては、職員とともに誠心誠意努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

 市政を預かるものとして、一言申し上げさせていただきますが、経営の神様と言われました松下幸之助様の本を読んだことがございまして、その中に、企業は人なりと、人材こそ最大の財産であると、これは、企業は働く人の人格や知性のよってよくも悪くもなるとういことであるということでありました。また、会社に例えて申し上げますと、人材依存の会社と仕組み依存の会社があると思います。

 細かくちょっと言いますと、人材依存の会社は、例えば、社員が社員のやる気や習性を引き出すことに四苦八苦をしていると。また、社内の人間関係の問題が常に起こっている。ほかにもいろんなことがあるかと思いますが、また、仕組み依存の会社に申しますと、社員にあれこれ言わなくても自主的に働いてくれる理由が存在する。また、問題が起こる前に対処できる仕組みがある。先ほど言いました人材依存の会社と仕組み依存の会社は正反対の組織であるというふうな認識が持てるかと思っております。

 私が言いたいのは、職員が持っている可能性を発揮させるためにも、仕組みが必要であると。そして、そのよい仕組みがなければ、職員を活かすことができない、そして正しく仕組み化がなされば仕組みは人を縛るものではなく、彼らの能力を発展させ、最大限に発揮されるものになるという考えを持っているところでもございます。

 したがいまして、職員の人材育成のための方針や計画、並びに仕組みづくり、議員の言葉を借りれば、職場環境ですか、になるかと思いますが、大変重要なものであると認識をいたしておりまして、今回の賜わりました議論や地方公共団体における今後の人材育成の方策に関する研究会の報告書も踏まえまして、昨今の社会情勢や多様化する市民のニーズに合った実行性の高い方針となるよう、来年度の見直しに反映させていきたいと存じております。

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