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  • 執筆者の写真Hirofumi Inoue

行政評価を市民、議員、市職員、首長との共通の道具にしよう! 9月定例会 一般質問

 今回のブログは、10日(金)の一般質問の詳報です。私と市側のやりとりを掲載します。一部分かりやすさを優先したり、明らかな(私の)言い間違いを修正しています。1万字超になるので、お急ぎの人はすぐ下の三つの要点だけでも目を通してください!

(所要時間約20分)





行政評価は「行政機関の活動を何らかの統一的な視点と手段によって客観的に評価し、その評価結果を行政運営に反映させること」で、日本では地方自治体の財政悪化と行政不信への対応や、地方分権、行財政改革を背景として、1990年代から広がり、一般市ではほぼ行政評価を取り入れている。しかし、全国的には評価それ自体が目的となったり、利用できなかったり、職員の負担感が大きかったりとさまざまな課題がある。


✓専門家によると、本物の行政評価は、①住民ニーズをくみ上げること②結果は極力広報すること③予算に反映させること④徹底した顧客志向ーーの4点を満たさなければならない。しかし、唐津市の行政評価は予算と組織の見直しを目的としているが、実態は総合計画の進ちょく管理で事業の中身よりも事業の達成を重視しており、指標も庁舎内の会議回数など成果とは程遠いものもある。ただ、直近2年間では行政評価を活用して補助金の見直しに着手し、7千万円超の削減効果を上げた。


✓「行政評価の手法や評価項目について整理し、市政運営にあたっていかなければならない」(市長)、「行政評価で事務事業を把握し、業務棚卸やRPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)を導入することで、無駄な事業や作業をなくしたい。市職員が事業や多すぎる業務に手を煩わせることがなくなれば、もっといい仕事ができるし、いい唐津になるはずだ」(井上)


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 5番、清風会、井上裕文です。通告に従い、一般質問をします。私は今回、行政評価の在り方という1項目のみを質問します。質問の趣旨は行政評価を職員、議員、市民、首長の共通の道具として使いましょうということです。目的は大きく二つあります。一つは、行政評価に基づいた、行政運営の効率化をはじめ、成果の向上、財政再建、顧客志向の転換などに対する市の姿勢を確認し、もし改善点があれば改善を促すことです。もう一つは、行政評価という道具を使って、やらなくてもいい事業や業務を見極めようということです。「仕事が増えるばかりで減らない」と複数の職員さんから話を聞いたことが質問のきっかけです。振り返れば、職員に対しては議員として「あれをしてこれをして」とお願いすることが大半です。自戒を込めて「あの仕事はやらなくてもいいんだ」という視点が重要だと訴えます。なぜなら新しいことを始める時には何かをやらなかったり、あきらめたりするということが大切だからです。

 まず、行政評価とは何かという点と全国の現状と課題について説明します。東洋経済新報社の「行政評価ハンドブック」は、行政評価は「行政機関の活動を何らかの統一的な視点と手段によって客観的に評価し、その評価結果を行政運営に反映させること」と定義しています。日本では地方自治体の財政悪化と行政不信への対応や、地方分権・行財政改革が求められていたことを背景として、1990年代から広がり、2014(H26)年3月に発表された総務省の調査結果では中核市100%近く、特例市100%、市区8割強、町村で3割台と、唐津市を含めた市と区ではほぼ行政評価を行っています。ただ、評価それ自体が目的となったり、利用できなかったり、職員の負担感が大きかったりとさまざまな課題が浮かび上がっています。最初の質問です。唐津市が行政評価を導入した経緯と目的をお答えください。これで1回目の質問を終わります。


【政策部長】

 行政評価は、市町村合併後、平成17年度に行政改革大綱が策定されたことを契機とし、選択と集中の原則に立ち、本市の行政サービスの効果的かつ効率的な推進を図るため、コスト、負担、目的、効果、必要性などの観点から、平成18年度から試行的に実施し、平成20年度からは、市が行っているさまざまな施策について、その目標に対して効果や成果を上げているか、無駄や不足している部分がないかなど、問題点や課題を整理しながら改善していくために本格実施しています。

 平成27年度からの行政評価については、第2次唐津市総合計画の基本計画の基本構想に掲げた「若者や子どもの定住促進」、「交流人口増加」、「行財政改革の推進」などの本市の課題を解決するため、「選択と集中」を図りながら施策展開すべく、基本目標単位に優先すべき主要な施策を体系化した各施策の進行管理のための手段として位置づけるとともに、基本計画に定める数値目標達成度を評価分析した結果などを踏まえ、予算や組織の見直しに活用するために実施しています。


【井上】

 行政評価の目的は予算や組織の見直しに「活用」することという答弁です。今回の質問全体の肝になる部分なので強調しますが、唐津市にとっての行政評価の目的は予算と組織の見直しへの「活用」です。私が考える目的ではなく、市が考えた目的です。そして、行政評価は総合計画の施策の進行管理のための手段として位置付けているという答弁でした。それでは、予算や組織の見直しという目的を達成できているのかについてご説明ください。


【政策部長】

 平成27年度からの行政評価については、対象を事務事業から単位施策に変更し、体系的な評価を図っています。毎年の評価を実施するなかで、PDCAマネジメントを行い、目標に向け改善を行っています。

予算見直しへの活用については、令和元年度より政策部と財務部との共同で行政評価のなかで補助金のヒアリング評価を行い、補助率の基準、整理を行い、令和元年度を基準に見直し対象とした補助金は、一般会計当初予算ベースで申し上げると、予算事業数で138事業、予算額では約23億1,500万円分。実際の作業に際しては、これらを補助メニューや補助対象者などで332件に区分けし、見直しを実施しました。

 この見直しを踏まえた令和2年度の予算編成の結果、目的達成や終期到来などによる廃止が17件、補助率や対象経費の見直しなどによる縮小・改善が42件、従前のままでの継続が273件となっています。ただし、廃止17件のうち、8件は単年度の施設整備補助金であることや補助対象がなくなったなど必然に基づく廃止であって、それらを除いた補助金の廃止及び縮小・改善の実質的な効果は、約7,300万円と捉えています。

なお、従前どおり継続となった273件のうち、見直し方針に完全に適合しているものは56件程度で団体運営補助から事業補助への転換や、定額補助から定率補助への移行、補助率の改定などについて、引き続き調整が必要と考えています。

 次に組織の見直しについてですが、唐津市行政改革推進会議において外部委員の方々に評価をいただいています。外部委員の導入により評価の客観性、公平性の確保や専門知識の活用、住民ニーズの把握が可能となり、住民目線にたった行政サービスの向上につながる組織の構築に向けての意見をいただいた結果、公共施設の再編推進の提案が数多く寄せられこともあり、本年度より公共施設再編を進める専門部署を設置しました。


【井上】

 今の答弁をまとめます。行政評価を2008(H20)年度から本格実施したが目的を見失って形骸化し、目的の観点では「評価のための評価」として10年以上にわたり目立った実績は全くありませんでした。しかし、危機感を募らせた一部の職員が一念発起し、2019(R1)年度を基準に補助金見直しで行政評価を重視した結果、7300万円の削減効果を生み出しました。組織の見直しについても同様だが、外部委員の評価として公共施設再編を進める専門部署を設けることができた、ということです。いったん形骸化した行政評価を生き返らせようとした職員の功績は非常に大きいと考えます。ただ、予算や組織の見直しに利用するという目的は達成できたかという問いに対しては、10年以上目的を果たせなかったものの、2年ほど前から実現を目指してもう一度頑張っていますという回答になるでしょう。次の質問です。ここで一度、唐津市の行政評価の概要について確認させてください。


【政策部長】

 評価の対象は、第2次唐津市総合計画の基本計画における単位施策とし、106項目が対象となっている。評価は、各所管課による1次評価と外部委員による2次評価で構成している。1次評価は、単位施策の実施所管課が、年度別の数値目標、実績、施策の取組み状況等を行政評価調書に記載し、数値目標達成度の把握、単位施策推進にあたっての課題の整理、単位施策を構成する各事業の次年度の方針確認、達成率が低い施策については、その理由の分析を行っている。

 それらの結果を、2次評価として、民間委員6名からなる唐津市行政改革推進会議に諮り、意見をもらっている。行政評価の結果は、市長に報告し、市のホームページで市民に公表している。


【井上】

 概要は分かりました。では長年にわたってなぜ利用ができなかったのか、今後利用を進めるためにはどうしたらいいのかを考えたいと思います。行政評価の第一人者で公共政策の専門家である上山信一氏の著書「『行政評価』の時代」には唐津市のように施策を対象とした場合、本物の行政評価の4条件として①住民ニーズをくみ上げること②結果は極力広報すること③予算に反映させること④導入そのものも評価の対象にする、というぐらいの徹底した顧客志向――と挙げています。この4条件を念頭に置きながら、実際に唐津市の行政評価を見ていきましょう。直近の令和元年度行政評価ヒアリング結果を用います。

 第2次総合計画に従って基本目標が6項目、その下に基本施策28項目、さらにその下に単位施策が106項目あります。例えば、基本目標に快適な生活と安全・安心のまちづくり、その下の基本施策に自然と調和する快適な生活環境の保全、さらに下に、ごみの減量化及び再資源化など四つの単位施策があるという形です。

ごみの減量化及び再資源化という施策では、ごみ排出量3万4286㌧という目標値に対し、実際は3万9598㌧で目標の87%の達成度、資源物集団回収量で目標値の615㌧に対し、389㌧で達成度63%で、この施策では87%と63%の単純平均で75%の達成度としています。不法投棄対策では、不法投棄防止活動協力団体の目標数16団体に対し、実際は11団体で達成度69%、一般廃棄物処理施設の整備では指標を設けていません。生活環境の向上と環境保全に対する市民の意識向上では唐津市うみ・やま・かわ環境調和のまちづくり補助金事業の交付数を採用し、目標値26団体に対し、実際は27団体で達成率は104%。この施策4項目を構成する事業数がそれぞれ拡充や現状維持、廃止、完了に至るまで次年度の方針ごとに分類されています。この基本施策では計12事業のうち、完了が1、残りは全て現状維持もしくは拡充です。同様に106項目の達成度をまとめたものが令和元年度で103%でした。

 現状の枠組み内で、予算と組織の見直しにつなげられる改善点を3点あげます。一つ目に目的と手段をもう一度明確にすることです。現状では予算や組織の見直しという本来の目的よりも、総合計画の進行管理という手段が目的となっています。

 二つ目に政策・施策を評価対象にする場合、できるのは予算配分を変えたり、政策を転換したりすることですので、あくまで施策ごとに予算のメリハリをつけるためのものだと割り切ることが重要です。そもそも総合計画に掲げた施策はどれも重要なものでしょう。したがって、施策を構成する事業の縮小・見直し・廃止という判断を現場で判断するのが難しいことは容易に想像できます。

 三つ目に指標の見直しです。これついては先ほどの例を用います。例えば私ならごみ排出量と資源物回収量を唐津市の人口約12万人で割ります。そうすれば市民1人当たりのごみ排出量と資源物回収量になります。同様に全国で人口や産業構造が似ている市も市民1人あたりに単位をそろえることで同じように比較することができます。市全体で約3万4千㌧のごみの量を市民1人あたり年間約320キロと示せば、市民にとっても分かりやすくさらに数キロ減らす意欲がわくかもしれません。不法投棄対策は不法投棄防止活動協力団体の数が指標でしたが、産業廃棄物を不法投棄を見つけた件数や、できればその推定量にします。この方が成果として市民に分かりやすく、身近だからです。一般廃棄物処理施設の整備は省略します。この例だけではなく、施策には「成果」ではなく施設を整備したい数を目標値、整備した数を実際の数値としている項目が多く、事業ありきです。進行管理の意味合いが強いため、「これだけやりました・できました」というのが指標の多くを占めています。中には庁内の会議の数や事業の数そのものを指標に用いています。厳しい言い方をすれば施策や事業の中身ではなくそれをしたことが評価される一面があります。決して会議の数が成果ではありません。一方で例えば消防設備等の整備で火災の死亡者や負傷者をゼロとする指標を用いたことは素晴らしいです。これをやりました、という単なるアウトプットから、その先にもたららされる成果を重視しています。さらに初期、中期、最終と分けて考えるのが望ましいです。火災の死亡者や負傷者のゼロは最終成果にあたります。今の進行管理表となっている行政評価では施策の中にある事業の達成度がメインになっていて、仮に私が市の職員で「この事業は意味がないかもしれない」と思っているのに、やれば100%、やらなければ0%です。達成できなければ行政評価調書を書いて担当課に再提出をしなければなりません。事業の内容に疑問を感じつつも事業を進めるでしょう。それではいけません。

 市民の意識向上という施策では補助金交付数ではなく実際に清掃活動や環境保全を行った団体数や参加者数、その数値の把握が難しいならば年に1回の市民モニター調査や大規模な市民意識調査の際に「参加しようと思うか」といった人の割合で判断することもできます。結果的に補助金は一部見直されましたが、今の指標ではなかなか判断できません。

 総合計画の進行管理表であればコストに関する指標は今のように必要ありませんが、行政評価にはコストの視点が不可欠です。コストを図る指標として例えばごみ排出量や資源物回収量を分母、携わった人の数や時間を基にした人件費や外部業者に回収を委託した費用を含めたコストなどを分子にして1㌧当たりのコストを算出する方法もあるでしょう。最後に、総合計画の進行管理ではなく目指すべき都市像の実現を意識すると、例えば総合計画の基本構想にある「若者や子どもの定住促進」なら新しく会社ができた数や市民1人あたりの平均所得額の全国市町村ランキングを入れてもいいです。

 行政評価の市民の広報は市ホームページでの公開にとどまります。興味がない市民なら目に入りません。市の広報紙やSNSなど、別のアプローチも検討すべきです。

 次の質問です。唐津市は行政事務や行政サービス等の改革に関して、基本的な考え方を示し、実効性のある具体的な取り組みを整理し、目標を掲げて短期集中的に実践していくための実行計画「唐津市行政マネジメントアクションプラン」を2016(H28)年度から2019(H31)年度を対象期間として策定しました。行政評価に関して具体的な取組内容として組織編制に行政評価を活用するとあります。加えて行政評価の効果的、効率的な運用を挙げています。これらの取り組みは実現できたのでしょうか。


【政策部長】

 議員より説明がございました唐津市行政マネジメントアクションプランにおいては、具体的には中長期的な観点から、組織機構の見直しに行政評価を活用するほか、見える化により数値目標の達成状況や他市との比較分析を行い、市の弱み、強みを明らかにするとともに、行政評価の実施方法等を検証し、行政評価の簡素化と評価結果の有効活用に向けた検討を行うこととしていました。

 しかしながら、行政評価を総合計画に掲げる単位施策の進行管理の手段として位置づけていたため、組織の見直しや他市との比較分析が出来ていませんでした。今後は行政評価の手法を整理し、数値で客観的に達成状況を示すことができる行政評価の仕組み作りを検討していかなければならないと考えています。


【井上】

 「見える化」の取り組みについては、4年間の計画対象期間でレーダーチャートという図表で分かりやすく伝えようとする努力の跡が見られました。私の方で補足させてください。

出来ていなかったとされる他市との比較分析ですが、6月の定例会で岡部高広議員が全国の類似団体の財政指標を用いて将来負担比率が22団体中19番目に悪かったことなどを総務省が公開した資料を基に自分で表計算ソフト「エクセル」を使って計算して明らかにしました。岡部議員の作業は数時間程度でしょうか。こうした指標を一つの現行の指標と一部入れ替えればいいだけです。市民にももちろん職員、議員、首長にも分かりやすい指標であり、分析にも役立ちます。

 組織の見直しについても対象期間後になるものの、外部委員の意見を基に公共施設再編部署の開設につなげることができた点は評価しています。行政評価を道具としてもっと利用するためには行政評価自体の改善も必要です。

 次の質問に移ります。唐津市の行政評価の二次評価に携わる外部委員これまで市民への積極広報や継続的な改善要求など数々の意見を表明しています。直近の昨年3月開催の会議概要には特に事業の見直しに関して「事業の切り捨て作業をどこかが憎まれ役となって進めた方がいいのではないか」とか「課題のままで切るべきところがあるにも関わらず、新規事業が増えているので予算が膨らんでいる」といった厳しい意見が大半を占めました。質問冒頭の複数の市職員と似た意見です。これまでの対応についてお示しください。


【政策部長】

平成29年6月総務省自治行政局発表の「地方公共団体における行政評価の取組状況等に関する調査結果」において、全国の約7割の自治体が、行政評価の予算編成等への活用について課題があると報告されており、本市においても行政評価の結果を、事業の削減、縮小、廃止を考慮した予算編成に繋げることに苦慮している状況であり、委員にいただいた意見を市政運営に反映させることも十分ではない状況です。

 公共施設再編の必要性についても多くの意見をいただいた結果、本年7月より新たに公共施設の再編を推進していくための公共施設再編推進課を設置しました。現在は、各部・各市民センターに対しヒアリングを実施し、各所管施設の現状把握を行うことで、長期的な視点をもって、施設の更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うための基本的な考え方を示す、公共施設等総合管理計画の改訂に向けて作業を進めています。


【井上】

 正しい意見を市政運営に反映させることまでが行政評価です。事業の見直しに関しては昨年3月の会議前も複数回指摘してあります。行政評価を生かそうとする機運が唐津市としても近年高まっている中、積極的に意見を取り入れたり、意見を採用しない場合もなぜ採用しなかったのかを説明したりする必要があります。私としては事業の見直しに憎まれ役は必要ないと考えます。なぜなら、本当の行政評価ができれば市民や議員、市職員、市長が客観的なデータでそれぞれ判断したり、その判断を尊重したりできるからです。次の質問です。課題である予算編成への利用に必要なことを財務部の観点でお示しください。


【財務部長】

 再質問に、お答えいたします。予算編成に際しましては、各部より、行政評価の過程で行う事業の振返りと分析、評価を踏まえ、所要の見直しを行った上で予算要求が行われているところであり、事業の課題整理と調整という点では、行政評価の一部は予算編成に反映されていると捉えています。

 しかしながら、予算査定を通じて感じますのは、各部における事業の実施結果の分析と、事業の見直し内容が不十分であることが多いという点です。財務部としては、この点の改善が重要と考えています。

 また、本市の行政評価の目的であります、評価結果を経営資源の見直しに用いる、すなわち全体の予算配分を見直す、あるいは事業を縮小、廃止するという点では、行政評価の利用ができていないところでございます。

 行政評価を生かした予算編成として、事業の現場を知る各部が、配分された一般財源の枠内で、各部の判断で事業の取捨選択や見直しを行う「枠配分方式」というものもございまして、これまで検討してきたところでございますが、採用した自治体が旧来の一件査定方式に戻る例もあることなどから、導入には至っていないところでございます。行政評価を踏まえ、よりよい予算編成方式となるよう、政策部と協議をしてまいりたいと考えております。以上でございます。


【井上】

 各部の事業結果の検証と事業の見直しが不十分という指摘を踏まえて、行政評価自体を改善する必要性と行政評価の利用ができていない状況がよく分かりました。「枠配分予算」だけでなく、財政課と事業部門が対等な立場で予算編成を行う「包括予算制度」や行政評価の結果を速やかに予算編成に反映させる「事中評価」なども検討の余地はあると思います。次に移ります。組織の見直しに利用するために必要なことを説明ください。


【政策部長】

 行政評価につきましては、現状として、総合計画に掲げた単位施策の進行管理のための手段として位置づけています。行政改革推進会議でいただいた意見をもとに、公共施設再編を進める専門部署を立ち上げた事例はありますが、行政評価の結果をもとに、組織の見直しに活用することが十分ではない状況となっています。


 行政評価を組織の見直しに利用するために何をすればいいのかという質問であり、できていないならどうすればいいのかという意図でした。私は、行政評価に成果に関する指標を増やし、各部や担当課が生み出している成果を把握するのが一つの方法だと考えます。少し脇道にそれますが、私は6月定例会で市職員の数をテーマに一般質問した際に、総務省の公開資料を基に唐津市と人口や産業構造が似ている22の市(唐津市を含めて)を対象に昨年4月1日現在で前年度からの部門別増減表を作成しました。一部を紹介すると、22市合計で企画開発が22人、防災が14人増えている一方、市民センター等施設が9人減と、おおよその傾向が分かります。使えそうな統計やデータは転がっています。行政評価にどうやって組み込むかが課題ですが、私も明確な解決策を持ちません。行政評価を組織の見直しに利用するために何が必要なのか一緒に考えましょう。

 次は事務事業を対象とした評価の在り方です。一般的に政策体系は、政策→施策→事務事業という構造になっており、事務事業の数は市町村で数百から1千台といわれています。政策・施策の評価は予算のメリハリや政策転換が適しています。一方、業務改善や課題となっている事業の見直しに関しては事務事業を対象とした評価が適しています。

 唐津市でもこれまでごく一部の事業が外部による二次評価を受けていましたが、圧倒的に少ないのが実情です。今の行政評価では事実上277の事業しかチェックできません。新規事業が増えているという声は市役所の内外から聞こえてきましたが、実際にどれだけ事業が増えているのか、この場にいるほとんど誰も把握できないという点が恐ろしい点です。恐らく1千を超える事業数のうちのごく一部です。国からの法定受託事務をどう評価するかという課題もありますが、事務事業の評価も不可欠です。

 事務事業の評価に関連する具体的な手法の一つとして、業務棚卸が挙げられます。業務棚卸は定型的な業務や他の自治体で民間委託されているような業務を一覧化し、民間委託できる分野やRPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)が適用できる部分を洗い出します。市が2019年度に佐賀銀行とRPAの導入効果実証実験に乗り出し、5業務で年間45.3%の業務時間の効率化を図っています。職員を多過ぎる業務から解放するためにもRPAは是非進めるべきですが、RPAの前提となる業務棚卸の導入について市の考えをお聞かせください。


【政策部長】

 議員ご提案の業務棚卸に向けて、8月よりDX推進支援業務に取り組んでいるところでございます。現在は、職員にアンケートを実施し、働き方診断及び各課が抱える課題の可視化を図っています。また、今後は、本市のどのような事務にAIやRPAを導入し、効率化を図れるのかを検討するため、業務ヒアリングの実施や、業務の流れ、改善が必要な箇所を見える形にするための業務フローの作成を委託します。

 さらに、見える化された業務フローをもとに、事務の見直し提案、デジタル化の導入提案を行っていただき、併せて導入に当たっての技術的なサポートを受ける予定です。


【井上】

 市職員がいい仕事をするためにも業務を減らしたり、改善したりしてほしいと強く求めます。行政評価の利用には市長のリーダーシップが欠かせません。唐津市の行政評価は10年以上予算と事業の見直しという点で実績がありませんでしたが、行政評価を利用しなければならないという動きがこの2年ほどで活発になりつつあります。市長は「行政経費削減のためRPA(ソフトウェアロボットによる業務自動化)など先進技術の導入を進めていき、唐津が未来へ続く基礎を確立します」とマニュフェストに掲げていました。その前提には事務事業の全体把握と見直しがあり、棚卸制度の導入や事務事業単位での評価が必要ではないでしょうか。行政評価をどう利活用するのかというお考えと合わせて答弁を求めます。


【市長】

 行政評価は、「評価すること」が目的ではなく、「評価することを通じて、予算や組織の見直しに活用するとともに、行政の仕事を市民本位に変えていき、よりよくしていくこと」が目的だと考えています。

 従来、「行政の仕事は、利益で評価できる企業と異なり評価が難しい」とされてきました。しかしながら、人口減少社会に突入し、歳入が伸び悩む中で、新たな行政課題や多様化した住民ニーズに対応するためには、限られた人材と資金をより有効な事業に充てていく必要があります。

 そのような中で、第2次唐津市総合計画に掲げる将来都市像実現のため掲げられている施策が着実に推進されているかどうか、成果が出ているのか、規模縮小や廃止すべき事業がないかなど、これまでも公正公平な行政評価のチェック機能を高めてきたところでございます。今後も、議員ご提案の件も含め、行政評価の手法や評価項目について整理し、市政運営にあたっていかなければならないと考えているところでございます。


【井上】

 あくまで総合計画の進行管理が主な目的ならば、今の唐津市の行政評価は、本当の意味での行政評価と呼べないものです。ただ、総合計画の進行管理をはじめ、各施策やそれを構成する事業の課題の把握、事業の調整としての意義は今の行政評価でも一定程度はあります。本当の意味での行政評価にして、市民、議員、市職員、市長に至るまで多くの人が使える道具にしていくべきです。本格的に行政評価を実施した2008(H20)年度以降、市長の言葉を借りれば「公正公平な行政評価のチェック機能」を高められておらず、予算と事業の見直しという目的に照らせば行政評価の「活用」以前の「利用」もままならない状態が長期間続いているという問題意識を持ったからこそ、質問するに至ったことをご理解していただきたいと思います。今回の質問を通して、この2年間ほどで本当の行政評価としてようやく動き出したことを実感しました。この流れを止めないでほしいと願います。職員の皆さんが必要性の低い事業や多すぎる業務に手を煩わせることがなくなれば、もっといい仕事ができますし、いい唐津になるでしょう。そのことを最後にお伝えして、一般質問を終わります。                                              


                                       以上

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